許婚でたまるか!
そんなあたしの頭の中で今でも鳴り止まない声…。






『前から思ってたんだけど、美香のそういうお節介で善人ぶるところが大っ嫌い!!!』


『もう私に話しかけてこないで!!』







冴木に八つ当たりしても消えないその声。


あたしは完全に自虐的になっていた。


「うぅ…。どうせ、あたしは偽善者だよ……、グスン。馬鹿で、みんなの…厄介者だよ……、ズビ。」




その時だった。




「サル子。」


「……っ。」


気がつくと、冴木があたしの目の前までやって来ていた!!



そして。





ポンポン



「……!!」



ポンポン



「ざ、ざえ”ぎ……??グス。」


冴木は大きな掌(てのひら)で、あたしの頭を優しく撫でてきたのだ……。



そして奴は一言、あたしに言った。
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