許婚でたまるか!
「おい、冴木!!それ返せよ!」


「ばぁーか、返すかよ!良いもの見つけちまったからな〜♪」



と、冴木は鼻唄を歌い始める。



「………………え"。さては、てめえ…。その本を学校の奴らに見」


「察しがいいな、サル子!こんな力作、大衆に見せないなんて勿体ないだろ!もうコピーも何部か刷ってあるから安心して学校へ行」


「やめろアホォーーーー!!!!」


と、あたしは迷いなく冴木に突進し、本を奪おうとする!!



が、冴木はひらりとそれをかわす!



「おっと。危ねえな!猿じゃなくて牛に成り果てたか、サル子!猛牛の飼い主なんて俺はお断りだからな。……ま、他の奴らに見られたくないなら今から俺の提示する条件をのめ!それでチャラにしてやる。」


「は!?な、なんでお前の言うことなんかきかないとならないんだよ!!?……フン!あたしは嫌だね!そんな小説ごときに、あたしが振り回されるとでも思ってんのかよ?おめでたい頭してんな、このドスケベ冴木が。」


「お!ここなんか良いシーンだぜ? “太郎は花子を布団へ押し倒すと、陶器のような白い首筋へと顔を埋(うず)め、花子の帯に手をかけると柔らかい素肌が顔を出し” 」


「ぐあぁぁぁーーーー!!!!朗読するんじゃねえぇぇーーーー!!!」



「あとここなんか堪らないな!“花子は太郎に一言、囁いた。「……抱いて。」と。”」



「ぎゃあぁぁあ!!!やめろおおぉぉ!!!」



その後冴木の朗読会は、あたしが白旗をあげるまで続けられたのだった……。
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