12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―
「今年で何年になるかなあ、ジョンが死んでから」
誰かが、ふと言った。
即答したのは、あたしだった。
簡単な引き算じゃん。
途端、オジサンたちは、ため息と嘆きの大合唱。
「うおー、そんなになるのか」
「ジョンより生きちゃってるよ、おれ」
「おれも老けるわなあ……」
オジサンたちの言葉は、あたしには理解できない。
あたしが知ってるジョン・レノンは、生身の人間じゃないから。
1個の伝説だから。
強烈で矛盾に満ちた、完結した物語だから。
あたしは、ジョン・レノンと時代を共有していない。
ジョンの遺した音楽と言葉とアートだけを受け継いだ世代。