12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―


ギターは女っていうことに、あたしは満足してる。

それは、つまりね。

歌うあたしの体は、ギターと1つになれるってことでしょ。


骨盤にピタリと沿わせたギターの重み。

腕を持たない“彼女”は、あたしの腕を操って歌う。

あたしは、体の奥から筋肉を引き絞る。

上へ上へと。

熱い歌声を、腹へ胸へ喉へ口へと噴き上げて、唇から放つ。

“彼女”とあたし、2つの音色が、1つの歌を奏でる。


女は水だ。

あたしもギターも、同じ。

あたしは感じる。

彼女とあたしは、温かな水の中で共鳴する。

ゆるゆると溶け合う。


< 62 / 99 >

この作品をシェア

pagetop