12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―
男のギター弾きは、こうじゃないでしょ。
男の腕が“彼女”を抱いて歌わせる。
“彼女”の音色に、男の歌声が乗っかる。
そこには、支配的な匂いがただよう。
不自由そうだね。
痛々しいんだよね。
弘樹も、そうだ。
弘樹のギターは、弘樹の焦りや怒り、若さと性欲に忠実だ。
弘樹は“彼女”を服従させている。
その激しさが、腹立たしいくらい、芸術的。
あたしは嫉妬する。
その嫉妬は、どこに向けたものなんだろう?