12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―


ライヴの開演時間は、あっという間にやってきた。

お客さんは顔なじみばかりだ。


午後6時ちょうど。

マスターがライヴのスタートを告げた。

あたしとサポートオジサン2人は、もうスタンバってる。


どんなに客席が近くてハコが貧弱だろうと。

どんなにステージが低くてスポットライトがみみっちかろうと。

ステージの上は、あたしの大好きな場所。

タバコと酒の匂いがするハコを、ぐるっと見渡す。

空調の乾いた風が、あたしの髪を正面から吹き流す。


< 92 / 99 >

この作品をシェア

pagetop