今宵、月下の夜に
遠い記憶と闇の色
私はパパとママに嫌われてる。もう随分前から。気づいてたのに気づかないふりをしてた。

だってママはみんなの前では笑ってくれたし優しくしてくれたから。パパだって仕事から帰るといつも大好きな駅前のケーキを買ってきてくれた。

私は幸せ。なにも悲しいことなんてない。


だからね、気づかないの。ママが家で私に触れないこと。触れちゃいそうなとき手を引っ込めること。パパがケーキを買ったらすぐに離れてしまうこと。目を合わせないこと。

なにも気づかないの。

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