君のココロの向こう側
ココロ、いち。
心から愛した人っていつまで経っても忘れられるものじゃなくて、ずっと特別な存在だと、昔何かで読んだ。

そんな私にも、忘れられない人がいる。





「みねせんせ、さよーなら!」

「さよならー!」



春の夕暮れどき、お母さんと手を繋いで満面の笑みを浮かべる男の子に手を振り返してから、時計を見上げる。

するとそのとき、後ろから名前を呼ばれた。



「彩乃!彩乃ももう上がりでしょ?」

「うん!」

「だったらご飯食べてかない?」



大学からの友達で同僚の瑞穂からの突然の誘い。

断わる理由もない。



「うん。着替えてくるから、待ってて」

「はーい」



瑞穂に門の前で待つように言い、駆け足で更衣室へ向かった。



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