君のココロの向こう側
「ふ、古い友人なんです。せっかくだから、彼に切ってもらいたいなって思って」

「そうでしたか!失礼いたしました。では、こちらへどうぞ」



奥の椅子に通され、少し待つように言われる。

心臓の音が周りに聞こえちゃうんじゃないかってくらい、煩い。

どうにかして静まらせなきゃ──と目を閉じた刹那。



「……え」



驚きに満ちたような、そんな声が背後から聞こえてきた。

ふっと目を開けると、鏡越しに隆太郎と目が合う。



「なん、で……」

「……ごめん。どうしても、伝えたいことがあって。佐伯にお店聞いて、来ちゃった」



変なの。

一昨日会ったばかりなのに、初めて会う人みたい。

私に4年間があったように、君にも同じだけの時間が流れてたんだもんね。



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