君のココロの向こう側
あぁ──なんで。

なんで君はこんなにも私の胸を熱くさせるの。



「ははっ……」

「もう!笑いすぎだし!」

「悪りぃ悪りぃ……っは」

「隆太郎ってば!」



そんなやり取りの最中、気まずさがなくなっていることに気付いた。



「取り敢えずなんか頼めよ」

「あ、うん。じゃあ……カシスオレンジを」



カウンターの向こうにいる、中年のバーテンダーにオーダーを告げる。

と、横から刺さるような視線を感じた。



「な、何」

「んー……、昨日見たときより更に大人っぽくなったかなって」

「……っ」



そう言って私を見る隆太郎の顔はあの頃よりずっと大人になっていて。

それ──こっちの台詞よ。



「保育士って実は肉体労働だからね、今みたいに髪いじったり出来ないの」

「へぇ……」



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