君のココロの向こう側
「ビールとピーチウーロンでーす」



店員さんが運んできてくれたドリンクを受け取り、瑞穂のジョッキと軽くぶつける。

その刹那、瑞穂は豪快にジョッキを呷った。



「ちょっと瑞穂、飛ばしすぎじゃない?」

「平気よー。あ、それよりさっき智也くんのお母さんから電話あってね、明日仕事でお迎え来れないから、代わりに別な人来るんだってー」

「今は仕事の話はいいよ。やっぱり何かあった?」



瑞穂のジョッキの中のビールは、もう半分もない。

普段なら悪酔いしない程度に飲むのに。

隠しきれないと判断したのか、瑞穂は俯きがちで口を開いた。



「彼氏と別れたのよ」

「え……⁉︎」

「すれ違いが続いてたからいつかこうなるとは思ってたけどさ。もう仕事に生きようって思って」



言いつつ、またビールを流し込む。

話が話なので簡単に口を出せる状況じゃない。



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