君のココロの向こう側

「……ん」



いつもより少し長い口づけに目眩を覚えた。

流石に少し休んだ方がいいのかも。

さっきみたいに隆太郎にも心配かけちゃうし。



「……じゃ、またね」

「ん。またな」



体を翻して元来た道の方へと歩いていく隆太郎。

そんな君の後ろ姿を見つめている──と、隆太郎がポケットからケータイを取り出したのがわかった。

耳に当てたので電話だな、と思いつつ目線を逸らさない。

会話はもう聞こえないけど、とても楽しそうだった。



「……あの子かな」



隆太郎の声で“アイカ”と呼ばれた女の子。

“太郎ちゃん”と紡いだ声は、私よりもずっと可愛くて。



「……信じるって、決めたでしょ」