君のココロの向こう側
『よかった』



佐伯のそんな声が聞こえてきた。

本日二回目の、よくわからない。



「よかったって……?」

『あ、いや……、峰が元気そうで安心したんだ。前田とは偶に会うけど、峰とは連絡とってなかったし、どうしてるんだろうって、ちょっと気掛かりだった』



前田に聞くわけにはいかないし、と気まずそうに付け足した佐伯に、また笑ってしまう。

そっか、気に掛けてくれてたんだ。

佐伯は、私達2人を恐らく誰よりも近くで見守っててくれた人だから。



「……ねえ佐伯」

『何?』

「今日はね、聞きたいことがあって電話したの」



改まった空気を感じたのか、佐伯は少し間を置いて短く「うん」と答えた。

聞くのは……やっぱり少し怖い。

もし答えが、望むものじゃなかったとしたら。



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