月と星とキミと
彼に会ったのは風の少し強い日のこと。
冷たい風が肌に刺さって痛かった。
満月が姿を見せては隠れていた。
暗くなったり明るくなったり、どこか不思議でなぜか心地よかった。
心地よさに背中を押されたんだ。
暗くて枝のぶつかり合う音が響く、夜には怖くて入れなかった公園になんとなく入っていた。
……そこで、彼と出会った。
チェックのマフラーを巻いて、キャメルのダッフルコートを着て、ズボンは真っ黒で。
ホットの缶を、コーンスープの缶を、飲まずにカイロとして持っていた。
少し離れたところにある街灯と月の明かりしかない、暗くて不気味な公園。
彼に出会って、居心地のよい場所になった。