晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
しばらく待っていると自転車に乗ったリクが私の目の前で止まった。
ダボダボのパーカーにスウェット、頭にはニット帽をかぶっていた。
……どこからどう見ても男の子じゃん。
「よ!家出少女!」
「うるさい……」
「ほら、行くぞ」
自転車の後ろをアゴでさしたリクにうなずいて、自転車の荷台にまたがる。
背は私の方が大きいのに……。
「私が漕がなくていいの?」
「今日だけ特別なっ?」
トクベツ……。
心の中でリクの言葉を繰り返す。
ニッと、いたずらっ子のように笑ってリクが自転車を漕ぎ出した。
わわッ!
落ちそうになって咄嗟にリクの腰当たりの服を握り締める。
……わぁ……なんだろ……。
心の傷ついたところが、じんわり温かくなって行く。
「咲ってば重すぎーっ!」
「お、重くないし……っ!」
車がまったく来ない道路の真ん中を堂々と走り抜ける二人乗りの自転車。