晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
認めたく、ないよ。
怖いよ……怖い。
「じゃあ、またな」
「うん……また。送ってくれてありがとう」
小さく手を振ると、
リクが笑って来た道を自転車で駆けて行く。
見えなくなるまで見送ると、大きく弾む自分の胸に手を置いてみた。
ドキ……ドキ……。
ゆっくりだけど、確かに動いてる。
いつもよりも大きく、大胆に血液が身体中を駆け巡ってる。
そのせいか、身体の温度が……熱い。
だけどどうしても認めたくなくて、ギュッと目をつぶって手を握り締めた。
……なにかの間違いだ。
きっとそうだ。
女の子に恋をするだなんて、
そんなのあり得ないに決まってる。
「…………」
そして家の中に入ってみんなが居る寝室に向かう。
……やっぱり、ぐっすり眠ってる。
朝帰りしたのに。
この光景も、すっかり見慣れてしまった。
切なくなる胸を感じながら、私はお布団に潜り込んで、密かに泣いた。