晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
「あら、なんの話をしているの?」
「あっ、上野先生!」
突然後ろからかけられた声に振り返る。
私たちを微笑んだように見ていたのは国語の上野先生だった。私たち5組の副担任をしている先生だ。
細くてスタイル良くて美人で、教え方もすごく上手。
……ただ少し、頭の中がお堅いのが玉にきずだけど。
「聞いてください!咲ちゃんが吹奏楽部の部長代理に選ばれたんです!」
「ちょっ、風華ちゃん言わないでよぉ……っ!」
なんてな。
……風華ちゃんナイス。
心の中で風華ちゃんに親指を立てた。
「そうなのー!?スゴイわねぇ!……ここだけの話、松中さんは先生たちの間では生徒会長候補でもあるから。頑張りなさい。期待してるわ」
……マジですか、それ。
固まる私をよそに上野先生が階段を降りて行った。
「ちょっ、咲ちゃんヤバすぎじゃん!」
「私、内申点良すぎじゃないの?」
これは再来年の受験、楽勝かもしれない。
……推薦もらえそう。
「そう言えば山田くんのウワサ聞いた?」
「なにー?」
「好きな人、咲ちゃんらしーじゃん!」
「……マジで?」
「マジ」
なにこれ、上手く行き過ぎて怖い。
……でも今日のブログに書くこと決まったなぁ。
クスッと笑ってから私たちはまた歩き出した。
私はスキップでもしたいぐらいの気持ちでいっぱいだった。