晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜



「カラオケ行こうっ!」


「いいねっ!行こう!」



買い物を終えて向かったのはカラオケ。


……なんか友達の前で歌うのって恥ずかしいなぁ。



「じゃあ最初はぶーから」



そう言ってマイクを最初に握ったのは、リク。


流れ出したのは、湘南の風の純恋歌。


……あ。これ知ってるけどよく聴いたことないなぁ。


んーと、私はなにを歌おうかなぁ。



「……っ……」



ーーその時。


リクが息を吸って、歌いはじめた瞬間。


私は、息の仕方をいっきに忘れた。


……ヤバい。


うますぎじゃないの。


耳から入って来るリクの歌声が、心にまで沁みてくるようだった。


力強くも、透き通った声。


鳥肌が立った。


ーードキドキッ……っ。


ヤバい。ほんと。


なんなの。やめて。


耳から、心臓へ、流れて来るみたい。


どんどん私を責め立てるように。


波が大きくなるように。


胸が脈打つ。


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