晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
隠したこと
無事に部長代理も終えての週末。
数学の新しい範囲が難しくて頭を悩ませていた。
「風華ちゃんって金田金田うるさくなーい?」
頬杖をつきながら口を尖らせてそう言ったのはなっちゃんだった。
それを聞いた私は身体が石のように固まる。
……マジか。
「確かに。金田が好きなのはもうわかったから黙ってって感じ」
「周り見えてなさ過ぎて目障り。金田とかお前じゃムリだっつーの!」
なっちゃんに同調したのは七美ちゃんで、それにまた目を丸くした。
……土曜日のショッピングモールに、七美ちゃんとなっちゃんと3人で来ていた。
た、確かに、風華ちゃんは金田のこと大好きで毎日金田金田言ってるけども。
カフェに寄って口を開いたなっちゃんが風華ちゃんの悪口をいきなり言い出すからぶったまげたのに七美ちゃんまで風華ちゃんの悪口言うなんて……。
……マジか。
だから今日風華ちゃん誘われなかったんだ……。
だけどなっちゃんと風華ちゃんは、親友のように仲が良いはずなのに。
どうしてそんな悪口が言えるんだろう……?
「咲ちゃんはー?なにかないのー?同じパートじゃん。愚痴ぐらいあるでしょー?」
「えっ……」
なっちゃんに突然振られた話に一瞬反応が遅れた。
ヤバイ。言いたくない。
……でも私には「仲良しだから悪口なんか言わないよ」なんて、言う度胸も根性もなかった。