晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
言わなくちゃ、いけない。
「風華ちゃんが最近ソプラノサックスの練習はじめたんだよね。私もソプラノ弾きたかったのに……」
そして頭の回転をこんなことに使ってしまう自分に少しだけ呆れた。
でもこの話がすぐ出て来たってことは、たぶん、多少は私も風華ちゃんのサックスの才能に嫉妬していたからだと思う。
「うわ、出た。出しゃばり」
「次の課題曲でソプラノのソロあるじゃん?あれ私か風華ちゃんのどちらかって先生から言われたんだけど、風華ちゃんがもうすでに吹く気満々なんだよねぇ」
ーー本当はこんな悪口、言いたくない。
ーーでも本音を言ってスッキリしたい。
……ジレンマのような感情が心の中をグチャグチャにしていく。
最近よく考えるようになった。
なっちゃん達といて、言いたくない悪口を言って楽しそうにして居場所をつくる表の私と、
心の中にいる、悪口を言いたくないと叫ぶ私と、どっちが本当の私なんだろうって。