晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜



二人の声と言葉が遠くに聞こえる。


確かに最近七美ちゃんには彼氏ができたけど……。


それって、ただの”ひがみ”なんじゃないの……?


前は風華ちゃんだったのに、今度は七美ちゃんか。


悪口を言われているのは私じゃなくて七美ちゃんのはずなのに、


私の心は、私が悪口を目の前で言われているみたいに、すごく痛かった。



「ねぇ!咲ちゃんもそう思うでしょ?」


「えっ、私……?」



突然ふられた話にうろたえる。


なっちゃんと風華ちゃんの瞳が真っ直ぐ私を見ている。


……早く言えって、目が、言ってる。


求められてる。悪口を。陰口を。


言わなきゃいけない。


言いたく、ないのに。


言わなきゃ、ダメ、なのに……。



「……んっと……私は別に……七美ちゃんはキライじゃないよ……?」



……それでも私は、正直で、いたかった。


七美ちゃんに関しては、ウソをつきたくなかった。


七美ちゃんのこと、ウソでもキライだなんて、言えなかった。


だって私にとって七美ちゃんは大切な”親友”なんだもん。


< 21 / 187 >

この作品をシェア

pagetop