晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
第1章
ピラミッドの景色
私はいつだって自分に自信があった。
友達もたくさんいて、先生からも頼られてて、部活もすごく楽しくて、恋愛もうまく行っていた。
挫折なんて、言葉は知らなかった。
・
*
「やっと来た」
「はよ〜!また遅れた!ゴメンねっ!」
「いいよ〜。いつものことだし」
グサッと刺さる七美(ななみ)ちゃんの言葉に苦笑い。
アハハ……と、笑うと七美ちゃんも微笑むように笑っていた。
私、松中咲と林七美ちゃんは大の仲良し。
家が向かい合わせの私たちは、七美ちゃんが引っ越して来た小学校4年生の頃から仲が良くて、
毎朝二人で家の前で待ち合わせをして学校へ行っていた。
「早く行こう!遅刻しちゃうよ!」
遅刻しそうなのは私が寝坊したせいなんだけど……。
そうも言っていられない。
「あっ、ちょっと待って咲ちゃん」
……え?
走りだそうとしたその時、七美ちゃんの声に振り向くとカバンを地面に置いた七美ちゃんが、いつの間にほどけていたのか、私のセーラーのネクタイに手を伸ばす。
……あ。
「ほどけてるよ?……はい、これでばっちり」
ふんわり、綺麗に結ばれたタイ。