晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
なにかの物語で読んだことがある。
これで手首を切れば、死なないけど、楽になれるって。
……死にたかったわけじゃない。
ただ、楽に、なりたかった。
「……っ……」
だから私はマネをした。
ーーこの時にはじめて私は手首をカミソリで切った。
なにかの物語で使っていたような眉毛用のカミソリじゃなくて、ムダ毛処理に使うようなT字のカミソリだったから、うまく切れなかった。
不格好に入った二本の赤い線が、また私の心の中にモヤモヤとして居座った。
スッキリすることも、楽になることもなかったけれど、冷静にはなれた。
私は、
これからどうしたらいいの……?