晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
数学のうるさい先生の授業の愚痴とか、先輩の愚痴から、友達の愚痴。
悪口を書けば書くほどパスワードを知ってるみんなは喜ぶ。
……最初は書き込むことに多少の抵抗があった。
だけどなっちゃんや風華ちゃん、七美ちゃんがコメントしてくれてその話題について盛り上がっていくうちに
私はどんどんその抵抗をなくして行った。
みんなが喜ぶから、私もなんだか楽しくて、嬉しかったから。
たぶん、『してはいけないこと』について感覚が麻痺してたんだと思う。
どうせ見れるのは、私がパスワードを教えた、限られた人だけだし。
みんなも書いてる。
私だけが悪いことしてるわけじゃない。
「……シワ」
「ん?」
「眉間にシワ寄ってる」
となりの席から聞こえた声。
机に突っ伏したようにして、顔だけこちらに向ける彼。
……私の、好きな人。
山田くん。
目があってドキ!と胸が高鳴る。
野球部の彼のことは、小学生の頃からソフトボールをしていた私は知っていた。
上手くて、少しだけ有名だった。
私も、彼も。