晴れ渡る空に虹〜キセキの途中〜
人の悪意がないところへ。
ここよりも、田舎っぽいところとか。
自然が綺麗な場所に行きたいなぁ。
空気が綺麗で、空も綺麗で。
ここよりも、なにもかもが、澄んだようなところに。
なにも気にせず、自由になりたい。
不自由だとは思わないけれど、窮屈だ。
息がしずらい。
いつもずっと酸素が足りない。
学校は、狭くて、暗くて、まるで迷路。
私をひとりぼっちで迷わせる。
「…………」
……星、キレイ……。
見上げた夜空には、無数の星たち。
テレビで物騒なニュースをよく見たりするけれど、夜道は不思議と怖くない。
私に似てると、思う。
真っ暗で、真っ黒。
私の心はこんな感じ。
太陽は消えて、なにも見えない。
月も、星すらない。
このまま暗闇に身を任せて消えてしまいたい。
溶け込んでしまいたい。
「はぁ……」
ちょっと歩いたところにある公園のベンチに座って、ケータイで小説を読んだり、書いたりして時間を潰した。
そして2時間ぐらいが経って家に帰ると家の中が真っ暗でビックリした。
ーーギシッ……。
軋む古い床。手をギュッと握って家族みんながいつも布団を敷いて雑魚寝している部屋まで歩いた。
ウソでしょ。
……みんな寝てる。
私が家出したのに。
こんな夜中に2時間も帰って来なかったのに、ぐっすり眠ってる。
お母さんも、お父さんも、お兄ちゃんも。
いびきなんか、かいちゃって……。
「ははっ……」
静まりかえった部屋に、乾いた自嘲するかのような笑い。
そんなもんか。
私の存在なんて、そんなもんなのか。