キスの意味
「じゃあさ、付き合ってよ」

「何にですか?」

少しだけ顔を上げて尋ねる。

「ここの中のカフェ。一回、入ってみたかったんだ」

いつもの穏やかな笑みを浮かべて、塚本さんが言った。


ホットのブレンドが入ったカップを受け取り、4人掛けの丸テーブルに、向かい合うようにして座る。

「俺が誘ったんだから、コーヒー代位、出したのに」

「”コーヒー代位“私にも払えます」

「女の子なんだから『ごちそうさまです!ニコッ』てした方が、可愛いのに」

「すみません、可愛いくなくって」

「機嫌、悪いよね?やっぱり、まだ体調悪い?」

いつものようにポンポン言い合いをしていたつもりだったけど、やっぱり、言葉の中の棘は隠せず・・・

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