キスの意味
「年令は、塚本さんに近くて、独身の方ですよね?」

「・・・うん」

私のこういう質問に、嘘をついたり、ごまかしたりできないのが塚本さんらしい。

「塚本さんのお見合いの話をしてたんですよね?」

小野田さんの顔を見る。

「そうそう。でも、塚本は「お見合いじゃないです!」て、認めないんだよ」

肩を竦めて、小野田さんは言った。

「お見合い、いいじゃないですか!?どうして認めないんですか?」

小野田さんと2人、レンジの前に立ったままの塚本さんを見上げていると「チーン!」と、レンジから軽快な音が響いた。

温めたお弁当をレンジから取り出し、テーブルに置き、胡座をかく。

割りばしを割って、お弁当に箸を付けようとするが、小野田さんと私の無言の圧力に、短く溜め息を吐く。

「お見合いなんて、それだけが目的みたいじゃないか。そういう、誰かにお膳立てされたものじゃなくて、もっと自然に出会って、心が動いた相手と付き合いを始めたいというか・・・」

俯きながらだが、はっきり話す塚本さん。

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