キスの意味
多分天然であろう明るい色の髪、アイドルのような甘いマスク・・・藤田さんの周囲はキラキラしてるのに、藤田さんの内側から出てきているのは、冷たいというか、ピリッと冴えた空気だ。

簡単に近付くと、切れちゃいそう・・・

そんな事を思いながら、藤田さんを見ていると、

「ところで、お前達、付き合って・・・」

「付き合ってません!」

藤田さんの言葉に被せぎみに言う。

会ってすぐなのに、いきなり何を言い出すんだ、この人は!

「「はやっ!」」

塚本さんと藤田さんが、声を揃えて言う。

てか、なんで塚本さんにまで突っ込まれるの?

「そうか。俺に気付かないくらい、夢中になって話してたようだから、てっきり付き合ってるのかと思った」

私は藤田さんの顔を知らなかったとはいえ、確かに、普段だったら藤田さんのこのオーラに気付かないはずはない。

「すみません、塚本さんがしつこいから・・・」

私が思わず俯いて言うと、塚本さんの低い声が、はっきりと返した。

「藤田さん、あまり言わないでください。まだ途中なんで・・・」

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