キスの意味
2人が並んで歩くのを見ると、身長差は感じられない。

という事は、藤田さんも180㎝オーバーなんだろう。

2人のその長過ぎる足は、ただ歩いているだけで、簡単に私を追い越していく。

なんで、そんな無駄に足が長いのよ!

無性に腹が立った私は、小走りで2人を追い越してから、前を歩いた。

でも、またすぐに追い越されれてしまう。

私はまた、小走りで追い越す。

そんな事を、何度か繰り返す。

クーラーボックスが、邪魔!重くはないが、かなり歩き難い。

塚本さんから、勝ち取ったはずのクーラーボックスの事を、そんな風に思い始めていた。

「塚本、あれは結構おもしろい生き物だな」

っ!

「ですね。いろいろやってくれるんで、見ていて飽きませんよ」

っっ!!

ピタッと足を止め振り向くと、私は下から2人の事を睨んだ。

私は、に・ん・げ・ん ですっ!

何から言ってやろうかと、ちょっと考えてしまったのがよくなかった。

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