キスの意味
宴会開始から、1時間程たって、ようやく私は一人になった。

みんなが、いくつかのグループに別れて、それぞれの話題で盛り上がっている。

少し離れた席にいた尚子さんが「お疲れさま」という感じで、笑ってくれた。

私は、すっかり冷めてしまっただし巻き玉子を食べる。

話しを聞きながらだったので、いつもほどは食べてないけど、お料理はどれもおいしかった。

そんな時、部屋の襖が開く。

「遅くなりました!」

低く響く声と共に、彼が入って来た。

テーブル2つを、縦に並べて置いてあるような、細長い個室の端に入り口がある。

声の主を、みんなが一斉に見上げる。
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