キスの意味

そして、大事な用事を忘れるきっかけとなった事に、思いは至ってしまう。

白石さんの背中を擦る塚本さんの後ろ姿、「陽平さん」と呼んだ白石さんの声・・・

どうしてこうも鮮明に、思い出してしまうのだろう・・・

私は、どうしてこんなに動揺しているのだろう・・・

その事から目を背けるように、キュッと目をつぶる。

そのまま、少しだけ運転席のシートを倒す。

ごめんなさい。今は少し、休ませてください。

心の中で呟いて、私は、ゆっくりと身体をシートに預けた。


ーーパチッと目蓋を開く。

一瞬、自分がどこにいるのかわからなくて、辺りを見回す。

コンビニの駐車場・・・

そうか・・・私、寝ちゃったんだ・・・

助手席に放置したままだったケイタイで、時間を確認する。

げっ！１時４０分!?私、１時間近く寝てたの!?

尚子さんからの着信が２件。１０分前と、２０分前。私がなかなか帰って来ないから、心配をしてくれたのかも・・・

ケイタイの着信音に気付かないほど、熟睡してたって事か・・・