キスの意味
川下部長は「悪いな」なんて言いながら、当然だとも言うように、頷きながら笑っている。
「おおっ」とか「考えたな」なんて呟きが漏れるなか
「雪乃ちゃん、もう一人は?」
高野主任が、続きを促す。
「そうですね・・・では・・・」
みんなに視線を巡らした後、スッと視線を止める。
「塚本さん!」
白石さんの言葉に、思わずビクッとなってしまう。
「ええ~!」「なんで~?」なんて声が、野球中年達から上がる。
「塚本さん、さっき無反応なんだもの。女としては、そういうの、やっぱり気になります」
右手を頬に添え、今日一番の微笑みを見せた白石さん。
・・・うっ、美しい・・・
そんな美しい微笑みを見せられては、もう誰も何も言えない。
細く長い指を持つ、白く美しい手・・・
指先の淡いピンクのネイルが、とても似合っている。
私は自分の右手を見て、グッと拳を握った。
「よかったな」なんて声をかけられながらも、珍しく無表情な塚本さん。