キスの意味
なんだ、これ・・・?

手に持っていたジョッキの置き場が、完全になくなってしまい、テーブルの遠い所にジョッキを置く。

「・・・塚本さん、まだ食べますよね?」

塚本さんも食べると言ったから、一人だとハードかなあと思ったもちピザを頼んだのに・・・

「うん、食べるよ。俺、手が届くから」

私の疑問を察したのか、そう言いながら、私の目の前に置かれた皿から、唐揚げを取って食べる。

・・・確かに塚本さんは、腕も長いだろう。でも、私だって小さな子どもじゃないんだから、手を伸ばせば、隣に座っている塚本さんの前ぐらいなら、十分に届く。

「私でも、届きますから!」

目の前の唐揚げのお皿を、塚本さんの前に置く。

「っ!人の前にあると、手が伸ばしにくい事もあるだろ」

唐揚げのお皿が返ってくる。

「っ!私が、そんなおとなしいキャラだと思ってるんですか?態度がでかいと言ったのは、誰でしたっけ?」

もう一度、唐揚げのお皿を塚本さんの前に置く。

「俺が気になるの!いいから黙って食え!」

唐揚げのお皿を、私の前にドン!と置き、じっと私を見つめる。
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