キスの意味
きちんと正座をして、藤田さんの方を向く。

「藤田さん!」

「なっ、何だよ!?」

「今日は、お疲れさまでした!最初は口うるさくて、鬱陶しかったけど、藤田さんのプレーを見ていたら、藤田さんの真剣さが、よくわかりました!これからも、ご指導、よろしくお願いします!」

そう一気に言って、ペコッと頭を下げる。顔を上げて、ニッと笑う。

「今日の藤田さん、めちゃめちゃカッコよかったです!」

藤田さんは、ポカンと口を開けたままだし、倉本さんは、クククッと、肩を揺らして笑っている。

「では、自分の席に戻りま~す」

藤田さんのあの顔!思わずフフッと笑ってしまう。勝利をおさめたような清々しい気持ちを感じながら、私は、自分の席に戻った。

その後ろで、藤田さんと倉本さんが、私について話し続けるなんて、思いもしなかった・・・

「なんだ、あれは・・・?誉められたんだか、けなされたんだか、よくわかんねえし!」

藤田は、生ビールを煽る。
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