キスの意味
ハンガーに掛けたTシャツを、しわを伸ばすようにパンパン!と、手で挟んで叩く。

何度も、繰り返し叩く。自分を納得させるように・・・

塚本さんの『甘い攻撃』に、どうしてあんなに動揺するのか、塚本さんと白石さんの姿に、どうしてショックを受けたのか・・・

私が向き合わなければいけない、私の本当の気持ち・・・

それには、気付かないふりをした。だって、私は『恋愛対象外』だから・・・


――3連休が終わり、毎日がバタバタと忙しかった。

忙しさも手伝って、塚本さんとは、これまで通りにできていると思う。多分・・・

毎日が慌ただしく過ぎていき、気が付けば、もう金曜日となっていた。

「あと、5分」

ケイタイで時間を確認して呟く。

私は今、昼休憩中。休憩室で一人、お弁当を食べ「疲れたな・・・」なんて思いながら、ボーッとしていた。

午後からの仕事、もう一踏ん張り!一週間の疲れが溜まった身体に、気合いを入れる。

首をグルグル回していたら、休憩室の扉が開き、顔だけそちらに向ける。

塚本さんだった。
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