キスの意味
「藤田さんと私は、まだ2回しか会っていません。言いたくはないですが、藤田さんは“ いい男 ”です!そっ、そんな人に、私なんかが、つっ、付き合えなんて言われても、からかわれているとしか思えません!」

藤田さんの真っ直ぐで強い瞳に負けないように、私も、藤田さんを見つめたまま言った。

藤田さんの視線が緩んで、再びフッと笑う。

「そういうとこだよ」

「ふぇっ?」

「お前は、媚びたりせず、俺達にちゃんと言いたい事を言う」

それは、藤田さん達にとって私が『恋愛対象外』だから、媚びる必要がないだけであって・・・

違うな。元々、よくやり方がわからないだけだ。『若年層男子苦手症』の私は、恋愛とかにも疎くって・・・気になる人ができても、それは“ 憧れ ”みたいなもので。見ているだけで満足し、自己完結してしまうような思いだった。だから、傷つく事もなかった。

恋をすると胸が痛む時があるなんて、初めて彼ができた時に知った。

・・・だとしたら、なぜ、塚本さんと白石さんが寄り添う姿を見た時、私は、胸が痛んだのだろう・・・
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