キスの意味
「はい?」

突然そんな事を言われて、何の事かピンとこなかった私は、小首を傾げた。

「あいつ・・・塚本の事だ!気にしてるとか、大好きとか、気持ち悪い事を言うな!」

僅かに眉間にシワを寄せて、藤田さんは言った。

あ~・・・そんな事、言ったな。忘れてた。でも、むきになって否定する所なんか、逆に怪しいですよ。

「そうですか!?私には、仲が良さそうに見えましたけど・・・あの塚本さんの、どこがそんなに嫌いなんですか?」

今度は、大げさに、コテンと頭を倒して聞いた。わざとらしすぎたかな・・・

「どこって・・・そうだ!あいつが入社して、一課に配属されて、俺の作った“ 新人売上記録 ”を、あっさりと抜きやがった」

「はぁ・・・」

胡座をかいた膝の上に右肘をつき、そっぽを向きながら言う。

「半年通って、ようやく話が聞いてもらえるようになった新規開拓の企業。あいつを連れて行ったら、大きな取引が決まった」

「・・・」

「うん!身長も、俺より2㎝も高い」

ガクッ!・・・小学生かっ!
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