キスの意味
「前に、何度かされたでしょ、『甘い攻撃』。ああいうのも全部含めて、どう思ってるの?つかもんの事」

吸い込まれそうな大きな瞳で見つめながら、真尋が私に問う。

塚本さんの事、どう思っているのか・・・私の、気持ち・・・

まさか、そんな事を言われると思っていなかったので、混乱して、言葉に詰まる。

「もし・・・今回のような事が、つかもんじゃなくって、違う誰かにされてたとしたら・・・沙映は、どう思った?」

真っ直ぐに私を見つめたまま、千晶が私に問う。

違う誰かだったなら・・・私は、どう感じて、どうしたのだろう・・・

「沙映の気持ちが、一番大事だと思う。千晶も、私も、同じ意見」

「気付かないフリをしてる自分の気持ちを、ちゃんとみなきゃ。そうすると、怖かったり、苦しかったりする気持ちにも気付いてしまうけど・・・」

千晶は、少し頬を緩める。

「そこから動き出す為には、自分の全部の気持ちを受け入れなきゃね」

「千晶・・・」

「私は、やっと認めました。吉野さんが気になってる・・・て言うより、かなり好き。大好き!」

そう言って、千晶はフワリと笑った。

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