キスの意味
ああ・・・千晶のこんな柔らかい微笑みは、久しぶりに見た。千晶、きれい・・・本当に、前に進む事を決めたんだ・・・

『塚本さんが、どう思っているか』よりも『私が、塚本さんの事をどう思っているか』

私の気持ち・・・
ワタシの気持ち・・・

その事を、頭の中で繰り返す。

真尋と千晶は、もう何も言わなかった。ケーキを「もう最高!」「幸せ~」と、おいしくいただいて、カフェで別れた。

千晶は仕事に戻り、真尋は自宅で、おじさん・おばさんと披露宴の話し合いだという。

「うちの親が、こんなわからず屋だとは思わなかった!」と、少々毒を吐いていった。

私は、帰りの車の中で、自宅に帰ってからも、考え続けた。ワタシの気持ち――

初めて会った時から、不思議と話しやすい人だった。塚本さんにとって私は『恋愛対象外』だと思ったせいもあるけど。

『若年層男子苦手症』の私は、私と同世代の男子と一緒にいるだけで、変な緊張を感じてしまうのに、塚本さんには、それがなかった。

塚本さんには、思っている事がすんなりと言えた。一緒にいて楽だった。

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