キスの意味
たぶんオーダーメイドであろうスーツを、カッコよく着こなし、見た目も会話もスマートだ。

これが、どこかの夜のお店で会った人なら「なかなかすてきなおじ様！」と、思ったかもしれない。

よくない噂が出てしまう理由はあるにしても、本当は、セクハラ大魔王(思い付きでつけました)なんかじゃありませんように！

なんて事を考えていたから、私に隙ができたのかもしれない。

大橋部長の左手が、正座をしている私の太股の上に、スッとさりげなく置かれた。

「沙映ちゃんは、明日休みだろう？今日は、ゆっくりできるな・・・」

「きたっ！」心の中で叫ぶ。先程まで『水野君』と呼んでいたのに、大橋部長、モードを変えてきた？

「カン！」戦闘開始を告げるゴングが、私の頭の中で鳴り響いた。大橋部長、残念です。

「大橋部長って、おいくつですか？」

大橋部長の言葉は聞こえてないフリをして、話題を変える。

「うん？いくつに見える？」

そうくると思ってました。

「４０代前半ぐらいですか？」

私の言葉を聞いて、片眉をピクッと上げる大橋部長。
< 378 / 427 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop