キスの意味
「正解だよ。先月42才になったばかりだ」

嘘で~す!40代には見えませんよ。

「そうですよね!大人の落ち着きというか、色気みたいなものを感じるなぁって思ってたんです!」

私の言葉に、少し頬を緩めた。太股に置いていた手を、クルクルと緩く動かす。ヒョエ~!今日、ジーンズ履いててよかった!!

「よく、40代には見えないって言われるんだけど。沙映ちゃんがそう言ってくれるなら、年相応に見えるのも悪くないかな」

私の耳元に、顔を近付けて言う。それ以上は、近付かないで!赤ワインの香りがする吐息に、ゾワゾワッと寒気がした。

「すてきなおじ様」撤回!やっぱり、ただのセクハラ大魔王だ!!さあ、ここからもっと攻めますよ。

「そうですよ。大橋部長の大人の余裕とか落ち着きとか、私の父にも見習ってほしいくらいです!」

「・・・うん?父?お父さん?・・・」

「はい!“ お父さん ”です。私の父、41才なんです!」

おもいっきり、明るい笑顔を作った。大橋部長は、私の言葉に固まる。よしっ!

「私、父が二十歳の時に生まれた子どもで。母の方が年上なんです。いわゆる“ できちゃった結婚 ”なんです」

「は、二十歳・・・」
< 379 / 427 >

この作品をシェア

pagetop