キスの意味
「はい!“ 義理の ”とかじゃないです。嫌なんだけど、似てますよね?」

「そう、だね。確かに、似てるね・・・」

「いつも、10才は若く見られるんです。服装とかによっては、20代にしか見えない!なんて言われる事もあって・・・」

そう、大橋部長に見せた写真は、特に若く見えるものを選んだ。

「だから、2人でいても親子に見られる事がなくて。親戚のおじさんか、年の離れた兄妹か、なんてところなんです」

肩を竦めて、苦笑いをした私。大橋部長は何も言わず、呆然と私を見ているだけで。『顔面蒼白』て感じ?

「私、大橋部長のような、大人の余裕や落ち着きがある、そんな『お父さん』がよかったです!」

大橋部長は、僅かに顔をしかめ、大きく息を吐いた。

「・・・水野君の『お父さん』か・・・」

「はい!私の『お父さん』です!!」

私の中で、戦闘終了を告げるゴングが、高らかに鳴った。フッ・・・と小さく息を吐いた時だった。

「失礼します!」

スッと襖が開くと、誰かが入ってきた。襖を閉めて、座敷に入った所で正座をして、頭を下げる。

「えっ!・・・」思わず、驚きの声が漏れてしまった。
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