キスの意味
「白石さんと会ったのは、元カレに会った時が最後ですか?」

「ん?そう・・・あっ、もう一回だけ会ったな・・・」

「どうして?」

「『白石さんとの事、誤解を解きたい人がいるから話してもいいか』て」

「それだけ?白石さん、了解してくれましたか?」

「・・・だから、こうして話してる」

「本当に?白石さん、本当に納得しているんでしょうか?」

「どうしてそう思うの?」

話しているうちに、塚本さんの低い声が、どんどん低くなっていくように感じた。

「・・・野球大会の日、昼休憩の後、私、塚本さんと一緒にみんなの所に戻りましたよね?」


「だったな」塚本さんは短く返す。

「白石さんが、広場の出入口で待ってて。『陽平さん』て呼んだんです」

その時の光景が甦る。白石さんは、私がいることに気付いて『陽平さん』て呼んだんだ。まるで・・・

「まるで、牽制?されたような気がしました。『塚本さんに近付かないで!』て・・・」

「女って、やっぱこえ~!」

そう冗談ぽく言うと、大きく息を吐いた。

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