キスの意味
塚本さんの顔も、赤く染まっていたに違いない。
自分の軽自動車に乗り込み、エンジンをかけ車を発進させる。
いつも私を見送ってから、塚本さんは車を動かす。
身体の中の熱を逃がすように、はぁ~と大きく息を吐いた。
久しぶりの、キスだった……
触れただけのキスなのに、身体の熱はなかなか引きそうにない。そしてそれは、心もポッと温めてくれた。
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あの別れ間際のキス以来『さよならのキス』は、私たちのお約束となった。
キスした後は、恥ずかしいし照れくさいけど、ちゃんと塚本さんの顔を見て「おやすみ。またね」と言えるようにはなった。
私は、ちょっと……いや、かなり期待していた。心も身体も、二人の距離がぐっと近付く事を。
……だが、“そこまで”なのだ。『さよならのキス』止まり。
こんな風に言うのは恥ずかしいけど。そのキスも、唇を重ねるだけのもの。……そっ、その、それ以上深く…と言うか、“大人のキス”になる事はない。
私が酔っ払っていて初めてされたキスの方が、ずっとエロかったと思う。