卒業より悲しかった 入学より嬉しかった
グラウンドにはサッカー部と野球部とソフトボール部がいた
そのすみっこは人がよりつかない
もちろん部活中だから誰もいないのだが
そこには彼がいた
朱莉君……
朱莉君はうずくまってあの曲をくちずさんでいた
あぁ
逃げ出そうとしたら
音を立ててしまい気づかれた
朱莉君『あっ……』
私『あっ……ごめん じゃあね』
朱莉君『まって……』
私『…………ん?』
朱莉君『ここにきたの? いいよ』
私『ありがとう』
ちょっと気まずいけどまぁ逃げるよりいっか
無言
辛くてきたのにもっと辛くなるよ
あっそうだ
私『部活は?』
朱莉君『今日はオフ』
私『帰んないの?』
朱莉君『家の鍵忘れたから』
私『じゃあなんでここに?』
朱莉君『校門のところに女子がいて通れなかったから……』
私『そうなんだ……』
あっ会話が……帰ろっかなー
この空気の中でかえれないなぁ
私『一緒に帰ろ!』
朱莉君『いいよ!』
なんか変なノリで変えることになった
校門のところに行くと朱莉君の彼女がいた
ぎゃっどうしよ
先に行こーっと
朱莉君『まってよ』
彼女『あ〜朱莉!今帰りぃ』
朱莉君『あぁ』
彼女『一緒に帰ろ!』
朱莉君と帰れないかぁ
少し期待したんだけどな……
かーえろ
朱莉君『ムリ』
は?
今なんて言った?
私『いいよ!二人で帰りなよ!じゃあね!』
涙があふれる
涙腺崩壊するよぉ〜
朱莉君『まって!』
腕をつかまれた
振り返れなかった
私の顔は涙でぐちゃぐちゃ