私とメガネくんの秘密のレッスン
「えと…
部屋は2階なんで……
どうぞお上がりください。」
「はい。
失礼しますね。」
トントントン…
階段を登りながら、
後ろを振り向くと先生も私に着いてくる。
…困ったな。
先生男の人だった。
それにとてもカッコいい人だ。
「待て!
俺は反対だぞ!」
「はいはい。
あんたは早くバイトに行きなさい。」
「あやのぉぉぉぉぉぉぉ!」
下からお兄ちゃんの悲痛な声が聞こえるけど…
無視して私は部屋のドアをゆっくり閉めた。
「あ…
荷物貸してください。
掛けますから。」
「いいよ。
大したもの入ってないし…。
勉強始めよう?」
「は、はい!」
わぁぁぁぁ。
緊張するなぁ。
しかも見れば見るほど白石くんに
そっくりだ…。
私は無意識のうちに先生を見ていたのか…
「僕の顔になにか付いてる?」
思いっきり先生に気を使わせてしまう。
「え!!
いえ、その……知り合いに
似ていたものですから……!」
「へぇ…僕が?」
「はい!
話したことはないんですけど…
クラスメイトの白石潤くんにそっくりで。」
「ふーん。」
うん、
時間が経てば経つほどそっくり。
苗字も一緒だし、
親戚かなにかなのかな?
すると…
「その子はどんな子なの?」
「えっ?!」
先生が白石潤くんについて聞いてくる。
しかも結構真面目な顔で。
答えないとダメかな…?
私、白石くんとは接点ないから解らないよぉ!
「えと…
真面目で頭よくて…
あ、運動も出来ます。」
「それで?」
「あと…
あっ…いつも本を読んでます!
それでこの前チラッと
見えてしまったんですけど…
彼、ファンタジーを読んでました!」
「………。」
「私てっきりもっと
お堅いのが好きなんだろうなって
勝手に思い込んでいたんですけど、
まさかの"蛙の王子さま"で!」
「………。」
「可愛いなぁと思いつつも、
やっぱり可笑しくて!
ギャップって言うか…」
「………。」
「はっ…失礼ですよね…!
えっとそれから……」
黙る先生にビクビクしながら、
白石くんの良いところを念入りに探す。
…だけど………
接点がないから
簡単には浮かばない。
うわーん!
先生どうして白石くんのこと聞くのかな?
しかもなんで黙るの?!