私とメガネくんの秘密のレッスン
帰っちゃったのかな?
一通り室内を歩いてみたけど、
「……帰っちゃった?」
誰もいない静かな空間。
耳鳴りだけが響く。
あぁーあ。
ちゃんと白石くんに謝りたかったのにな…。
学校でも得に話すわけじゃないけど、
気まずいままは嫌だよ。
本当は話したい。
レッスンの時みたく、
スパルタだけど普通に接したい。
みんなの前で堂々と…
白石くんと日常を話したい。
だけど…
私の前で見せてくれる白石くんが
本性じゃないことはわかってるけど、
それでもその白石くんを
みんなに知られたくないって
思ってる自分がいて
ほんの数日なのに、
彼の存在は私のなかで大きく変化してる。
おかしな話だ。
私、
かなり欲張りだったんだ。
「……欲張りだなぁ…。」
「へぇ。
何に対して欲張りなんです?」
ん?
今、
私以外の声がした気がする。
「え?」
キョロキョロキョロ…
「………。」
誰もいない。
おかしいなぁ。
すぐ近くで聞こえた気がしたんだけど…。
「気…のせい?」
ブルル…
もしかしてオバケでも居るのかな?
それにしてもかなりリアルな声だった。
「かっ、帰ろう!」
「はぁ?
帰さねぇよ。」
「え?!
……………わぁぁぁ!」
後ろに引かれるからだ。