私とメガネくんの秘密のレッスン
Step…授業継続中
side 白石 潤
「ハァァァ。」
あぁ、面倒くさい。
只今体育祭の練習なわけだが、
俺は全くと言っていいほどやる気がない。
「じゅーんっ、
らしくない溜め息ついて
どうしたのさ。」
「げ、隼人。」
「"げ"ってなに、"げ"って。」
「なんの用だよ。」
俺は隼人が近付いてきていたことにも
気付かないぐらいぼうっとしていたらしい。
「本当につれないなぁ~。
…ってここ良い位置じゃないの!」
目の前では女子が体育祭の練習中で
隼人は鼻息を荒くして興奮している。
…と言ってもこいつの視界に入っているのは
学校で人気(らしい)の女子生徒…
"沢村琴乃"。
鈴村彩乃といつも一緒に居るやつで、
どうやら隼人は
そいつに好意を抱いているらしい。
「ハアァァァァァァァ…
本当に琴乃ちゃん可愛い……」
「…そうか?」
「そうだよ!
明るいし姉御肌だし
綺麗だしスタイルもいいしっ!
なにより
クールなところがなおいい!」
「…ふーん。」
語りだすと止まらない隼人は
目をキラキラさせながら彼女を見る。
…確かに"沢村琴乃"は大人っぽくて
他の女子生徒に比べれば垢抜けてる。
勉強も運動も完璧で、
クラスでは絶大な信頼を
置かれているやつだ。
だけど俺は…
「……っま、
今の潤は琴乃ちゃんなんて
興味もないんだろうけどね~?」
「…なにがだよ。」
「惚けちゃって!
正直に言っちゃいなよ、
潤は何て言ったって………」
「あーもう、
うるさい。」
隼人はニタニタと笑いながら
"彼女"を見る。
ーーーそう、
鈴村彩乃を。
「最近はどうなのよぅ!
ちゃんと仲直りは出来たんでしょ?」
「別に喧嘩してねぇし。」
「よく言うよ、
お互いぎくしゃくしてたくせに。」
ぎくしゃく…
確かにあの時俺は厳しくしすぎて
鈴村彩乃と気まずくなってしまった。
だけど…
「…あれ?
でもあんまり今も変わってないような…
彩乃ちゃん、
潤のこと全然見ないし…」
「………。」
「え、あれ?
潤なにかしたの?」
本当に察しがいいやつだ。
俺だって思い出したくないのに。