私とメガネくんの秘密のレッスン
「もうっ…
おどかさないでよね!」
「実体験……?
おい、彩乃。
…それって
不特定多数の友達にか?
…それとも
特定の人物にだけか?」
不特定多数の友達?
特定の人物?
「………。」
琴乃ちゃんにはドキドキしないし…
かといってクラスの男の子たちにも
あのドキドキ感はない…
あるとすればーーー
白石くんにだけ。
ってことは…
「…"特定の人物"。」
…に当てはまるってことだよね?
「……と、と、と…
特定の人物……だと?」
そもそも白石くんとだけしか
話さないし…
「……とく、とく、とく…
特定の…人物……
あ、あ、あ、彩乃に…」
そもそも白石くんとは
図書館の日からなんか変だもんなぁ…
「彩乃にっ…!」
「彩乃~っ!
先生来たからお迎えしなさ~い!」
げっ!
も、もう白石くん来ちゃったの?!
…ってお兄ちゃん、
全くアドバイスもないなんて!
話しただけ時間をロスしただけだった!
「じゃあお兄ちゃんまた後でね!
私忙しいの!」
「……い、忙しい?!」
だって今日は決戦の日だもん!
レッスンに集中して
白石くんをカボチャ(失礼)だと思って…
乗りきってやるんだからー!!
ーーーー…一方、
一人廊下に残された兄はと言うと…
「………それって…
"恋煩い"……じゃねぇかよ…」
「彩乃が…恋。
あ、彩乃が……こ…」
壁に項垂れて涙を流していた。