私とメガネくんの秘密のレッスン



「白石くんと居ると
 ドキドキする。」



「………え」



「それに一緒に居て
 お話ししすると楽しい。」



「………。」



「だけどこの前のレッスンみたく
 冷たくされて素っ気なくされると
 悲しい。」



「………。」



こんなの私の我が儘だ。
だけど



「だけどね
 図書館の日から白石くんと居ると
 ドキドキするようになったの。

 …なんだろう?
 白石くんと居ると
 恥ずかしくなって
 いつもの私じゃないみたいなんだ。」



「え……」



こんなこと言っても
白石くんを困らすだけなのに

私にだってわからないこの正体を
白石くんに聞いたって
迷惑でしかないのに

スラスラと口から漏れるのは
やっぱり先生だから?

それともクラスメイトだから?

だけどどの答えも




…違うって否定してる自分がいる。




「だから避けちゃってた。
 普通にしたいのに
 白石くんの前では出来ないんだもん。


 本当にごめんね。」



「………。」



「………。」



「「………。」」




ん?
なにこの沈黙。


気のせい??
打ち明けたのに変わらぬ重たい空気。


私おかしなこと言った?
やっぱり自分でも理解できないこと
言われて困ってる?


ちろり。
白石くんを見るけど



「う"っ…」



表情は険しく、
口元を手で隠すように私を見ていた。

ひっ、
ひいぃぃぃぃぃ!

やっぱり恐い!!

私ったら反射的に
顔ごとそらしちゃったじゃん!
避けられてるの気にしてる白石くんに
追い討ちをかけるような行為を!

私のばかーーー!



「………ねぇ。」



「ごっ、ごごごっ
 ごめんなさい!
 私っ………!」



「鈴村さん。」



「なんでこんな学習能力
 ないんだろう?!
 本当にごめんなさーーー…」



「……黙って。」



「……っきゃ。」



いつのまにか私の口は
白石くんの手によって覆われ

すぐ近くに白石くんの綺麗な顔。



「~っ!」



さっきまで向き合う形で座ってたのに
今では体育座りしてる私を包むように
膝をついている。

見上げれば
真剣な顔で私を見下ろす白石くん。
だけど頬は赤く染まって
いつもの彼じゃない。

言うなれば…



少し余裕がないようにも見える。



「…白石くん?」



「それ、
 どうとらえていいんです?」



「え…?」



「"僕と居て楽しい。
 だけど冷たくされると悲しい。"」



「………。」



「僕と居て"ドキドキする"って…」



白石くんの片手が私の髪を撫でる。



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